自分の目の前からいなくなってしまった妻は、いったい今、どこにいるのだろうと考えた人麻呂は、「秋の山一面に黄葉があふれている。 その黄葉のために山に入った妻は道を間違え、迷い込んでしまい、帰ってこられなくなったのだ。 だから 妻は亡くなったのではない、黄葉で一面を染められた山の中で、帰り道を探して今もさまよっているのだ

と詠んだ。 悲しみの中に美しい風景を描写する事で、死を美に置きかえ、悲しみを乗り越えようとする気持ちが内に込められている。